外照射のPSA非再発率 3D-CRT,IMRT
Bittner氏の論文で滋賀医科大学附属病院泌尿器科講師（当時、現在は特任教授）の岡本圭生氏の発言を引用し、Zelefsky氏の論文の概要を紹介した。発言を再掲する。
日本ではトリモダリティが実施できる施設はまだ限られているが、欧米の主要な施設（Prostate Cancer Results Study Group）のデータによると、高リスクの前立腺がんでは手術を行っても10年PSA非再発率は40％程度、IMRTを中心とする外照射では60％であるのに対し、トリモダリティでは90％と高かったことが報告されている。
Results Study Group (PCRSG)のデータが掲載されている論文を確認してみる。Figure 3で、外照射で10年PSA非再発率が60%（図上では60%より低い値とみえる）68の論文、 Zelefsky MJ, Yamada Y, Kollmeier MA, Shippy AM, Nedelka MA. Long term outcome following three-dimensional conformal intensity modulated external-beam radiotherapy for clinical stage T3 prostate cancer. Eur Urol 2008; 53: 1172–9を読んでみた。
筆頭著者Zelefsky氏の所属は Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerである。1988年から2000年の病期がT3の患者、296人が対象であり、T3aが130人(44%)であり、T3bは166人(56%)であった。189人(43%)が短期間のandrogen-deprivation therapy (ADT)を受けた。
T3a
5年PSA非再発率
69%
10年PSA非再発率
44%
T3b
5年PSA非再発率
49%
10年PSA非再発率
32%
10年PSA非再発率は図上、少なくとも50%より大きい値のようにみえる。とても44%はみえない。
3D-CRTなので、PSA非再発率、そうよくないのではないかと思い、IMRTと比較している論文を少し探した。Dolezel M, et al. Comparing morbidity and cancer control after 3D-conformal (70/74 Gy) and intensity modulated radiotherapy (78/82 Gy) for prostate cancer. Strahlenther Onkol. 2015 Apr;191(4):338-346 をみつけた。
筆頭著者のDolezel氏の所属はMultiscan α Pardubice Regional Hospital であり、チェコのパルドゥビツェに在る。
1997から2008年の患者553人が対象である。3D-CRTは70-74 Gyを照射し、IMRTは78-82 Gy (IMRT 78, IMRT/SIB 82)照射である。
5年PSA非再発率
3D-CRT
低リスク 89.4%
中間リスク 65.5%
高リスク 57.8%
IMRT
低リスク 90.9%
中間リスク 89.4%
高リスク 83.9%
チェコの一病院での結果であるが、3D-CRTとIMRTのPSA非再発率、かなり異なる。明らかにIMRTのほうがいい。
2015/05/21