山本氏の論文
吉田氏の論文でPSA非再発率に関連する論文の紹介をした。吉田氏の論文はHDRによる治療であったが、今回、手術に関して山本致之氏の論文、局所進行性前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術の術後再発因子に関する検討の概要を記す。
1995年11月～2011年1月に大阪府立成人病センターで手術による治療を受けた患者が対象である。全部で64人であるが、術後補助療法を実施しなかった44人のPSA非再発率は以下のとおりである。
5年PSA非再発率 59%
10年PSA非再発率 51%
ここで、病理学的 T stage（pT）は、pT2が24例（37.5％）ということで、臨床病期と病理病期を比較してpT stageが減少したものが結構な割合あったということだ。
以下のように記述している。
cT3a 以上の局所進行性前立腺癌の中にも，手術によって限局性前立腺癌と診断される症例が存在する．また，局所進行性症例であっても，手術によって良好な治療経過を辿る症例も存在する．
手術によって良好な治療経過を辿る場合というのは、cT3aでPSA 15ng/ml 未満、生検 GS 8 未満、これら全てを満たす症例の5年PSA非再発率は78%だったとのことだ。これはFig.2にグラフ表示されている。但し、症例としてすべてを満たすものが16、そうでないものが18と必ずしも多人数が対象ではない。
海外の論文と比較した Table4 局所進行性前立腺癌に対する前立腺全摘除術の治療成績のまとめは興味深い。断端陽性は中で一番少なく、10年PSA非再発率は同率のものがあるが一等いい値だ。
2015/10/27