外照射、手術、小線源の比較
某掲示板の書き込みより、外照射、手術、小線源のPSA非再発率を比較した論文があることを知った。書き込まれた「Pottersらの報告によると」という筆頭論文著者名をもとに検索し、元の論文を見出した。
それは2004年の論文、Monotherapy for stage T1-T2 prostate cancer: radical prostatectomy, external beam radiotherapy, or permanent seed implantation.であり、論文雑誌のページも示す。筆頭著者の Louis Potters 氏は Memorial Sloan Kettering Cancer Center at Mercy Medical Center, Rockville Centre 所属で Google scholar で論文名で検索すると 引用元 180 でかなり引用されている論文といえる。
1992年～1998年のT1-T2の限局性前立腺がん患者1819人が対象であり、ホルモン治療は実施していない。外照射（70Gy以上）、手術、小線源の比較である。療法毎の人数は以下のとおりである。
外照射：340
手術： 746
小線源：733
7年PSA非再発率は次のとおりであり、療法による差はあまり無い。
外照射：77%
手術： 79%
小線源：74%
その後、放射線治療装置の進歩、線量の増加、小線源治療の改良等で上記の値より、外照射、小線源の治療成績はもう少しよくなったと思われる。手術に関してはロボット支援手術はPSA非再発率の向上に寄与しているだろうか。
治療効果が高く体への負担も少ない小線源治療とは 斉藤 史郎 | がん情報総合サイト『キャンサーチャンネル』の24分43秒くらいのところの「Low risk 患者において治療方法別にみた生化学的（PSA)非再発率」というグラフの引用元よりA retrospective comparison of androgen deprivation (AD) vs. no AD among low-risk and intermediate-risk prostate cancer patients treated with brachytherapy, external beam radiotherapy, or radical prostatectomy.をみいだす。
1996年から2001年の1668人の患者が対象である。ホルモン治療無しの場合のPSA非再発率を以下に示す。
低リスクの5年PSA非再発率
外照射：90%
手術： 89%
小線源：90%
中間リスクの5年PSA非再発率
外照射：81%
手術： 75%
小線源：88%
低リスクにおいては差がないが、中間リスクでは小線源のほうがいい。(2015/01/13追記）
2015/01/10