PSA不安
放射線治療後のPSAが高くなることを心配せざるをえない。健康リテラシーと高いPSAへの不安に関する論文、Mahal BA, et al. High PSA anxiety and low health literacy skills: drivers of early use of salvage ADT among men with biochemically recurrent prostate cancer after radiotherapy? Ann Oncol. 2015 Jul;26(7):1390-5.の概要を紹介する。
前立腺がんに対する放射線治療後のPSA再発において，早期に救済ホルモン療法を開始することで生存期間を延長できるかどうかは証明されていない。この研究は外照射、小線源治療後の多施設のPSA再発した患者375人が対象である。68人の患者（18.1％）は、PSA再発の初期管理としてサルベージホルモン治療を受けた。
高いPSA不安を持つ患者はそうでない患者の2倍、低健康リテラシーの患者は高健康リテラシーの患者の2倍救済ホルモン療法を受けた。
PSA : 高PSA不安 そうでない患者 オッズ比 2.15(95% 信頼区間 1.16-4.00）
リテラシー : 高健康リテラシー 低健康リテラシー オッズ比 0.50(95% 信頼区間 0.29-0.88)
日本においては、京都大学病院では溝脇氏の論文で紹介したようにPSAが4 ng/mL を超えると救済ホルモン療法を開始ということだが、それ以外では特に患者の健康リテラシーが高いか否か高いPSA不安を持つか否かによって早期の救済ホルモン療法を開始の条件となるとは思われない。米国においてはホルモン療法はあまり好まれていないということだろうか。
2015/08/29