小線源単独と併用の副作用比較
奈良県立医科大学の田中宣道氏の小線源単独治療と外照射を併用した治療との副作用を比較した論文、Tanaka N, et al. Periodical assessment of genitourinary and gastrointestinal toxicity in patients who underwent prostate low-dose-rate brachytherapy. Radiat Oncol. 2013 Jan 30;8:25.、full textを紹介する。
genitourinary (GU) toxicity 尿路有害事象と gastrointestinal (GI) toxicity 直腸有害事象に分けて比較している。この前向き研究に登録した2004年7月と2008年11月の間に小線源治療を受けた218人の患者 (cT1c-2cN0M0)が対象であり、治療法によって、単独群155人と外照射併用群63人に分けられた。
すべての患者のうち、78.0%は早期尿路(GU)有害事象を示し、7.8%は早期直腸(GI)有害事象を示した。そして、63.8%が晩期(GU)有害事象を21.1%が晩期直腸(GI)有害事象を示した。晩期(GU)有害事象及びGI有害事象の発生率は、併用群で有意に高かった。
Figure 1.をみるとよく分かる。
また、併用群では尿失禁、頻尿/緊急性直腸出血と直腸炎の発生率は、単独群に比べ有意に高かった。
結論としてfull textでは以下のように書かれている。
GU及びGI有害事象の発生率は、単独群の患者と併用群間で有意差があった。併用群が特にGI有害事象の高い発生率を示した。小線源治療の前に高いIPSSを持つ患者は、早期GU有害事象の高い発生率を示し、外照射を受けた患者は晩期GI有害事象の高い発生率を示した。
full text では「我々の知る限り、これは小線源治療を受けた患者におけるGU及びGI有害事象の両方の定期的な発生率を評価するために設計された最初の研究」ということで、普通に考えて、外照射と小線源を併用した場合、副作用多くなるだろうということが予想されるが、この研究によって明らかになったといえる。
なお、三木 健太 「治療による有害事象：早期，晩期に発生する尿路と直腸での有害事象の種類とその発生率．また，その予防と治療法」Japanese Journal of Endourology Vol. 26 (2013) No. 2 p. 182-183 も有害事象について報告している。
2015/08/23