橋本剛氏の論文__ロボット支援手術の治療成績
公益財団法人前立腺研究財団が提供している前立腺がん関連動画 前立腺がん最新情報より動画をみた。
千葉大学の今本敬氏の講演、ロボット手術支援システム｢ダヴィンチ｣による前立腺全摘除術で東京医科大学の橋本剛を筆頭筆者とする論文、Int J Urol. 2015 Feb;22(2):188-93.、full text が紹介されていた。
少し読んだので、以下概要を書く。
2006年8月から2013年8月の784人が対象（全手術数は1014人）
80人がPSA再発をした。
統計的な解析により以下の4つの因子により3つの群に層別化された。
・PSA密度 PSA 術前のPSAレベルを、超音波検査によって測定した前立腺容積で割って計算したもの 0.4以上か否か
・病理学的グリーソンスコア 8以上か否か
・断端陽性か否か
・病理学的Tステージ 3a以上か否か
詳細はfull textの Table 3. を参照のこと。
低リスク群 599人（76.40%）
中間リスク群 114人（14.54%）
高リスク群 71人 （9.05%）
5年PSA非再発率
全体 80.1%
低リスク群 89.4%
中間リスク群 65.6%
高リスク群 30.3%
Table １ をみるとClinical T stage T3a は 7人 (0.9%)であったが手術後は以下のようになった。
pT3a 116 (14.8%)
pT3b 38 (4.8%)
pT4 3 (0.4%)
やはり、手術しないと本当の病期が分からないということがいえるかと思う。
また、8人の外科医が手術を行い、一人が約半分を手術し、術者の経験（手術数）は以下のように偏っている。
試験期間中の各外科医の経験は、以下の通り
1-50症例、3人の外科医
51-100例、3人の外科医
100人以上の症例、1人の外科医
500人以上の症例、1人の外科医
同じ東京医科大でロボット支援手術を受けたとしてもベテランの医師とそうでない医師の差はかなりあるといえる。
動画で17分あたりから、論文、Eur Urol. 2012 Nov;62(5):768-74.よりヨーロッパ、スウェーデンのストックホルムのKarolinska University Hospital の治療成績を紹介している。
full text は有料なのでみることはできないが、講演でのグラフ表示をみると、高リスクは58人（6%）であり、5年PSA非再発率は70%よりいいようだ。
2017/01/29