SWOG 8794 とガイドライン

SWOG 8794で主として藤野邦夫『前立腺ガン最善医療のすすめ』実業之日本社に関して臨床試験SWOG 8794について書いた。その中で『NCCNガイドライン　2014年第2版』についても言及した。改めて『前立腺癌診療ガイドライン』について確認する。

（旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2012年版にはこう書かれている。

CQ8　術後アジュバント療法の適応と方法は確立しているか？
推奨グレード B　期待余命15年以上のpT3N0M0例に対しては，術後アジュバント放射線療法が推奨される｡

日本泌尿器科学会／編『前立腺癌診療ガイドライン 2016年版』メディカルレビュー社のP.130には以下のように書かれている。

CQ6　術後アジュバント療法が推奨されるのはどのような患者か？　またどのような治療が推奨されるか？
期待余命15年以上のpT3N0M0、特に精嚢浸潤例に対しては，術後アジュバント放射線療法が推奨される｡　推奨グレード B

ほぼ同じ記述であるが、精嚢浸潤の場合が追記されている。解説をみてみる。3つのRCTがあげられていて、そのうちの一つがSWOG 8794 であり、参照されている論文はJAMA. 2006 Nov 15;296(19):2329-35.である。これは先のSWOG 8794では[244]として紹介している。さらに[245] J Urol. 2008 Dec;180(6):2453-7.が以下の文で参照されている。

SWOG 8794試験のサブ解析では精嚢浸潤があるpT3症例ではアジュバント放射線療法あり群で生物学的無再発生存率期間および全生存期間の延長が証明された。

論文発表時期からはこのJ Urol誌の論文は参照可ではあるが、『（旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2012年版』では参照されていない。もちろん、JAMA誌の論文は参照されている。

ガイドライン 2016年版のほうが分かりやすいといえば分かりやすい。手術後、精嚢浸潤が判明したならば、外照射の実施を考慮ということだ。

2017/10/31