折笠一彦氏の論文__Grading systemを用いた治療成績

PCF 前立腺がん患者ガイドでISUP2014のコンセンサス会議で承認されたグレードグループについて書いた。表形式で示したが、表ではなく再掲しよう。

Grade Group 1：Gleason Score ≤6
Grade Group 2：Gleason Score 7 (3+4)
Grade Group 3：Gleason Score 7 (4+3)
Grade Group 4：Gleason Score 8
Grade Group 5：Gleason Score 9-10

このグレードグループに関して、手術、放射線、ホルモン治療での治療成績に関して報告した気仙沼市立病院泌尿器科の折笠一彦氏他の泌尿器外科 2017年 30(8).1317〜1319を読んだ。

2002年1月から2016年までの手術333人、放射線療法214人、ホルモン療法340人の計887人が対象である。PSA再発を以下のように定義した。
手術　術後1ヵ月以上経過した時点でPSAが0.2ng/mL 未満を確認後、2週間以上あけて測定したPSAが2回連測して0.2ng/mL以上となった場合
放射線　照射後のPSAが nadir+2ng/mLとなった場合
ホルモン　4週以上あけて測定したPSA値が最低値から25%以上の上昇、かつ上昇幅が2ng/mL以上となった場合

D'Amico リスク分類の低リスクには放射線単独、中間リスクには放射線照射前6ヵ月間のホルモン療法、高リスクには照射前6ヵ月間のホルモン療法、照射後2年間のホルモン療法を実施。

グレードグループ毎の5年PSA非再発率は以下のとおり。
グレードグループをGと表記する。
手術
G1：88.8%
G2：84.0%
G3：71.7%
G4：63.7%
G5：44.2%
放射線
G1：95.5%
G2：100%
G3：87.1%
G4：87.5%
G5：65.2%
ホルモン
G1：97.0%
G2：91.4%
G3：95.9%
G4：67.8%
G5：65.5%

PSA非再発率が各々の療法ごとにグラフ化されている。手術に関してはきれいグループ毎に分離している。以下のように書かれている。

手術療法に関しては生検標本による Grade group 分類により非再発発生生存率がよく予測できていた。しかし、放射線療法、内分泌療法では各 group 間で分離が不良のものがみられた。放射線療法に関しては照射前後に内分泌療法を施行した症例が含まれていることが原因と思われる。内分泌療法では Grade group 1〜3 とGrade group 4,5 と2つに分かれており、治療効果予測に利用できると考えられる。

私はGrade group は2であり、放射線療法のグラフをみると7年PSA非再発率は93.8% だ。人数は36人とそう多いものではないが、なんとなく安堵できる数値である。

2018/06/07