コブラ八木美知依部隊に行った際、もらったチラシよりpiazzolla.orgの植草さんの Uekusa - Featured Recordingのページを訪問した。CD"Cafe 1930"の中のいくつかの曲をRealAudioできき、とても気に入ったので、早速 植草さんのweb pageから注文した。翌々日の10月6日に届いた。何度も飽きる事なく聴いている。
最初の曲"Invierno Porteno"（ブエノスアイレスの冬）もよかったが、何といってもCDの表題となった"Cafe 1930"が一等いい。 ピアソラは今まで、NHK TVでの演奏をきいたぐらいだが、このCDでその良さを認識した。
"Cafe 1930"を聴くと何か懐かしい感じがする。それは、現実のある時間、特定の場所といったものではなく、書物、映像で知ったとでもいう 戦前の無国籍のCafeの佇まいといったものだ。そのイメージは存在しない失われた時があたかも眼前に出現するという感じだ。哀しみの時を懐かしみ、流した涙を一種冷ややかに回想し、その事自体がまた哀しい。 実に不可思議だ。
ピアソラの曲の魅力をチェロの植草ひろみさん、ピアノの砂古美香さんの演奏が一層引立てる。抑制された演奏により、哀しみの中の芯の強さを感じさせる。 それは『キッチン』の中の次の祈りの後、生きる決意をするみかげを思い起す。
神様、どうか生きてゆけますように