1998年10月11日

こする、弾く、叩く、吹くことにより音を出す楽しみを満喫したコンサートだった。 レアンドルは本当に素晴らしい演奏家だ。特に休憩をはさんでのソロは音を聴くことの幸せといったものを感じた。特定のメロディや固定したリズムと無縁でなんと魅惑的な音を紡ぎ出すのか。 ハーモニクス奏法でだされる高い音が実に魅力的だった。 弦を擦る音、彼女の息遣いを感じ、この時間が長く続くことを願った。 所謂現代音楽のcoolな音を聴く喜びでもなく、jazzのswingする楽しさとも異なり、今まで体験したことのないものだった。
梅津さんとのデュオは音の流れに双方呼応し、変化していく。しかし、それは決してテーマとバリエーションではなく高い音、低い音多彩な奏法による変化の楽しさだった。 梅津さんのいわゆるフリーのフレーズを弦でなぞるといった二人の音の対話を楽しんだ。
エアコンを切っての演奏だったので、レアンドルは終わった後、hotといっていた。

心身ともに開放された夕べだった。