2004年12月4日
3日、ときの忘れもので開催されている井村一巴（いむら かずは)展の初日に出かけた。当日、作家を囲んでのオープニング・パーティが催されていた。
切り取られた風景はその構図を含め、実に新鮮だった。アートを志向せず、といってもいわゆる旅の記念のスナップ写真でもなく、彼女のみたものをカメラで「写生」するといったものだ。井村さんにきいたところ、何枚も同一アングルではとっていないということであり、画廊主の綿貫さんの言によると、一切トリミングをしていなくて、レンズで切り取られたものそのままということだ。
自分自身を撮ったものは三脚を立て、タイマーでシャッターを切っているとのことであり、レンズを通しみた不在の自分自身を構図し、位置を決めポーズする。
カメラが見る私、 それは ある瞬間の 実在といえよう。
しなやかな感性で撮られた何枚かの写真の中、殊に沖縄で撮られたタイル張りの建物の写真に心ひかれた。人、生活が不在であり、なおかつ抽象の世界になっていない写真 、それは「撮る」ことに対しての気負いや、拘りがなく、軽やかに風景を定着させる魅力といえよう。
変に小さくまとまらず、進んでほしいと思う。ただし、<セルフポートレート>をつきすすむと何か危うい世界に入るかと思う。「タムマニア」の写真で、バッグにプリントされた写真のモデルの田村文生さんによると自身のモデルのものはあまり関西方面では流布されてほしくないといっていた。
開催 2004年12月3日〜12月18日